前回ABEC9のベアリングが回りすぎという記事を書きましたが、滑り摩擦が無い「自律分散式転がり軸受(ADB)」ベアリングが登場しているようです。
ベアリングの分解洗浄をした事がある人はわかると思いますが、ベアリング内部には小さな玉が入っていて、それが転がる事によって軸が回るのですが、玉同士が内部でぶつからないようにリテイナーという部品があります(参考画像)。
このリテイナーとボールの摩擦によってどんどん減速してしまうわけですが、今回の動画で紹介されているベアリングではボールが自動的に間隔を保つのでリテイナーが存在しません、リテイナーがなければ摩擦が発生しないので、従来のベアリングとは比較にならないくらい回るんですね!
この技術自体は数年前に発表されているようですが、上記の動画が公開3日で1万再生を超えている事からも注目の高さが伺えます。
凹みを作る事によって玉が横で転がると、同じ1回転でも進む量が少なくなる事でその箇所で一時的に減速するという原理が天才的過ぎ!
この方式を採用したスケート用ベアリングが開発されたらABEC11とかそういう次元じゃなく本当に1プッシュでどこまでも回り続けるようなスケートが現実になります。そうなれば映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくるようなエアーボードよりも、地面にウィールが乗っている「重力感」と宇宙空間のように慣性でどこまでも進み続ける「無重力感」を楽しめるという新次元のデッキが誕生するわけで、技術的な課題もクリアされているから製品化を待つだけ!
と...言いたい所ですが、きっと特許使用料などメチャメチャ高くてなかなか製造に踏み切るメーカーが出てこないかもしれませんが...
大いに期待してます!!
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ショートやロングボード乗っている人も是非持っておきたいスケートボード。
開発した空スペースの河島です。特許使用料は安いですよー。
問題は、ベアリングメーカーさんがこの技術導入に積極的でないこと。このベアリングはリテーナが不要なので、リテーナを製作する型費が不要になります。そうなると、今まで歯車を加工していた業者などの新規参入が容易になって、ベアリングの寡占が崩れてしまうのですね。
それでもベアリング使用者のメリットは絶大ですから、水面下で開発は進んでいます。フォーミュラーEカーのレースでインドと中国が欧米をぶち抜いていますが、これは使っているかな? と思ってます。
ダイセルの久保田邦親博士(工学)が特殊鋼メーカー在勤時代に示したCCSCモデル(炭素結晶の競合モデル)は、すべり軸受をナノレベルのメカニズムでボールベアリング状の炭素結晶に変える反応を発見しているので、一見すべりあっても、ナノレベルでは転がりだという新コンセプトは興味深いです。どこかの大学と界面摩擦現象の制御という目標で産学連携を行っているようです。